2009/05/17

Epiphone SST Classicと低価格エレガット弾き比べ

Epiphone SST Classicなるエレガットギターを入手しました。

27000円でした。安い!




ガットギターとの最初の出会い

自分のファーストギターって自宅にあった、父親が昔から持っていた全音のガットギターでして、当時はエレキ及びスティール弦のフォークギターが触りたかったんでしょうね、状態も悪かったそのギターは家を建て直す際に一緒に処分しちゃいました。(誰もメンテしてないステューデントギター、入門ギターゆえに今思うとすごい酷い状態でした)




ガットギターへの想い

ギターを始めた当時はLUNA SEAなんか聴いていて、楽器のことを細かく見ていたので「ロックバンドでも色んな角度から完璧なサウンドを構築する為にガットギターも使っている」みたいな情報を得て「ガットも弾けるべきだ!」なんて思いつつ、高校時代に神保町の中古楽器屋で河野のガットギターを弾いてえらく感動したのが忘れられずで「いつかは良いガットギター手に入れるぞ」なんてずっと思い描いてました。

しかし「クラシックギター」と称されるように、クラシックでも使われるナイロン弦を用いたギターはロック分野で発達したエレキ、スティール弦のフォークギターに比べてどことなく高い。

もちろんピンからキリまでなんだけども、イメージとしては高級な金管楽器や木管楽器、ヴァイオリンなどのオーケストラで用いられるような楽器類の高さと言うか。

上には上があると思っていたら入手できずじまい、挙句エレキにはまってエレキばかりの家になっていたわけです。




入手へのきっかけ

そんなこんなで気にしていたけど実際使う用事がないので需要がなかったんですけど、今東京エスムジカのコピーバンドを手伝ってまして。

そこでギター弾いていて、「紺碧の空を後にして」「オレンジの実る頃」などのスパニッシュなサウンドを取り入れた曲が疾走感と突き抜けるポップさがあって歌い手の子2名が「やりたい!」って言ってたのでやることになったんです。

エレキで弾いてたんですが、悪くないんですけど、やっぱりガットの音が欲しかったので思い切って買っちゃおうて思ったわけです。




エレガットを比較した

調べだすと楽しいので、数日の間に一気にリサーチしました。

前提は

  • 低価格(10万円を超えない、せいぜい5万、あわよくば3~4万円)
  • 良くはないけど、悪くはない
  • かさばらない(
でした。
上記コピーバンドにて、エレキも持っていくので機材が増えてかさばるのが嫌だ、っていう理由です。


ARIA Sinsonido AS-100CARIA Sinsonido AS100

まず最初に目をつけたのがアリア(荒井貿易)が出していたSinsonido(シンソニード)シリーズ。

これ、ボディに当たる部分がフレームになっててネックとブリッジ部分のみの構成で見た目が非常にしょぼい(笑)。

骨組みだけっていう印象だけども、逆を言えばこの上なくそぎ落としたデザインで、これは最高にかさばらない!と思って目をつけました。

これ、ちょい傷品みたいなのが都内楽器店にて3万以下で大量にあって売れ残りまくってます。とは言え、新製品ではないので買っておかないとまたひょいと見かけることもないかも・・・とか思い出したら気になったので触れてきました。

触った感想としては以下。

  • 値段が低価格で良いが、値段相当のしょぼさ
  • 音色はピエゾピックアップからの採取なのか、そんなに悪い印象はない
  • 弦だけ響く感じだが、ちょっとノイジーでクリアでもない。
  • トラベルギター(旅行に持っていく用)としてはかさばらなくて良い
  • 自宅以外で使うにはいまいち
  • フレームが離着可能で持ち運びは良いが、固定パーツがなく穴に挿さってるだけだから立って弾くに弾けない印象
  • そもそもストラップピンを装着するところがないので立って弾く前提で作られていないっぽい
  • どことなくネックが握りづらく、作りも少し荒い印象
ネガティブな要素が並びますが、あくまで今回捜し求めた趣向に合ってないってだけで、これはこれで魅力があるものではありました。(特異な存在だけど)

そんなわけでこれは選択肢からはずしました。


Ovation Celebrity CSE243Ovation Celebrity CSR243

上記Sinsonidoを探して立ち寄った渋谷IKEBE 246ギターズアコースティックフロアにて見つけた、Ovationの低価格帯シリーズのCelebrityのエレガット。

エレガットとイメージしてGodinっていう高級エレガットブランドが真っ先に思い浮かんだのですが、エレアコで超有名なOvationは忘れてました。

ほほーと思って、値段は自分の中では高め(7万円切ったくらい)の値段だから買う意識薄めでちょっと触ってみました。

触った印象としては、さすがOvationと言ったクオリティ。ただ、ボディ裏側が樹脂で出来てるOvationならではのサウンドと言うか、あんまり好きでない音色と弾き心地でした。

これは個人の好き嫌いの問題ですが、この価格でこの音だったら悪くはないなと思いつつも求めてるもの、価格(やっぱ高い)ではないのでやめました。


Cooder TCS-550NCooder TCS550S

まったく考えてなかった、と言うか今回初めて知ったのがCooder。

まず「Cooder」て、ライクーダー?みたいな感じで、いまいち響きがしっくりこないあたり微妙かなと思いつつ、まぁ物は試しと思って弾きました。

これは吉祥寺の新星堂ROCK INNで見つけました。

新品で値段が35000円くらい。TAKAMINEなどを扱っている共和商会が輸入してるみたいですね。

テレキャスターシェイプでソリッドボディ、でもエレガットっていうスタイルでした。
ソリッドボディのエレガットはまったく考えてなかったので目からうろこでしたが、触った印象としては無駄なノイズが乗らず、バランさーみたいなつまみがついていて曇った音からカラっとしたブライトな音まで作れ、わかりやすいEQみたいのが確かついていたような気がしました。

ソリッドボディは扱いやすいなーと思いつつ、3万超えているあたりで「あと一声安ければなぁ」と思いつつ、ブランド名もよくわからないからよく調べてからにしようって思ってその場を去りました。

で、さっき調べてみたんですけど、通販のサイトでぽちぽち出てくる程度で、やはりいまいち情報が固まってなくて微妙でした。これからでしょうね、このメーカーのレビューが広がるのは。(と言うかもう上記のEpiphoneを手に入れちゃったから面倒で調べる気がしてないだけですが・・・)


YAMAHA SLG-100NYAMAHA SLG-100N

エレガットを思い浮かべて実は真っ先に欲しかったのはYAMAHAのサイレントギターでした。

これ、確かmiyauchi yuriくんがステージで最近使っていて(彼曰く、しょぼいガットギターを使っていたら、見るに見かねて某有名アーティストがくれたとのこと)、彼のプレイ、音楽性によるところも大きいですが、非常に澄んだ音色が魅力的だなーって思ってまして。

値段を調べたら5万超と今回調べた中でもやや高めの方。

渋谷のMUSIC LAND KEYにて見つけたので弾きました。(でも店頭にあったのは確か100ではなくて、120の上位機種だったかな?)

これ、弾いた感想としてはやっぱりよく出来てる。
インドネシア産ながら仕事きっちり、粗さが特に見られず、音もクリア。
一部パーツをはずせるらしく、少しコンパクトに持ち運びが出来るようになってて、上記のSinsonidoと違ってストラップピンを兼ねた固定パーツがあるために立って弾くことも可能になってました。

あと、自宅で静かに練習することを前提にした「サイレントシリーズ」なのでヘッドフォン端子、そしてヘッドフォンでもナチュラルに聞えるようにリバーブを3モードくらい搭載、EQでサウンドキャラクターも変えられるあたりも芸が細かいです。

なぜかAUX INもあって、外部音源を繋げて仮想合わせ練習まで出来てしまうあたり、YAMAHAの徹底した「サイレントシリーズ」の良さがふんだんに搭載されてます。

カタログを見るとポール・ロジャース(Free、Queenのボーカリスト)、ブライアン・メイ(Queen)や、リー・リトナーなど世界的に活躍するミュージシャンにも愛用され・・・と言った文言もあるように、しょぼいっちゃしょぼい楽器だけども、ピエゾピックアップから拾われる無駄のない音、そして無駄のないデザイン(ボディが薄いのでエレキギターと同様に扱える感触)が好評の模様。

確かこのサイレントギターが出たばかりの時に同じくYAMAHAの音楽事務所に所属する中島みゆきがキャラクターを務めて広告に出ており、その時に「ある意味で便利だけど、だせえ」って思っていたわけですが、実用面から見たらやはり良いですね。

ただ、やっぱり値段が5万超えてるから断念。

で、これらを弾いて結局246ギターズにて見つけたEpiphone SST Classic、これも一応弾いておいて気になっていたところ、調べたら結構手ごろに入手可能であることが判明して、ふらっとそっちに行ってしまいました(笑)。




Epiphone SST Classicについて

写真は我が家のGibson SJ-200と並べてみた写真です。
遠くから並べる分にはそんなにチープにも見えない印象です。
さすがGibsonのグループ会社であるEpiphoneてところでしょうか。

このギターの特徴は以下です。

  1. ソリッドボディを採用した「チェット・アトキンス」タイプ。
  2. サウンドホールがなくピエゾピックアップの為、ハウリングに強い
  3. 2ピースの木材で作られたスカーフジョイントを採用している。
  4. サウンドホール風に見えるデザインがされていて見た目がクラシックギターっぽい。
  5. Epiphoneのロゴが入っててなんだかかっこいい。
  6. ストラップ・ピンがネック付け根、ボディ中央下部にある為、立っての演奏に向いている。
  7. セットネックでどことなく高級感UP。
  8. Shadow製のプリアンプが搭載。Treble、Bassの調整も可能。


1つめですが、チェット・アトキンスなるGibsonから出ている、ギタリストChet Atkinsのシグネイチャーモデルがあるのですが、それがソリッドギター・エレガットの元祖だなんて言われているみたいで、それを元に作られたモデルだそうです。

1に関連してますが、2つめのピエゾ採用ですが、ナイロン(ガット)弦の為にコイル式のピックアップが使えないことも関係してますが、振動をブリッジ(弦を固定する部分)から直接拾ってアンプから鳴らすことができることでハウリングに強い側面と、物を伝って聞える弦のクリアなサウンドはピエゾの最大の魅力ですね。
マイクで拾う場合とサウンドのキャラクターは変わりますが・・・。

テレキャスターと比較で、横から見た図です。ソリッドボディ(空洞の無い木の塊ボディ)の為、厚みはこの程度なので空洞のあるギターに比べてコンパクトですね。セミホロー(一部分だけ空洞を設けて空洞のあるギターの響きも取り入れたタイプ)でも良かった気がしますが、まぁエレガットでピエゾの時点でどっちでも良いような気がしますね!(これは個人の感じ方次第でしょうね)

チェット・アトキンスについて余談ですが、仲井戸麗市さんが盗難されたギターのうちの1つでもあります。
逆を言えば、この盗難事件でそういうモデルがあることを知ったのもありますね。
CHABOさんのギター、無事CHABOさんの下に戻ることをひそかに祈っております。

3はよく、コストダウンの為に丸々良い材をネック用に加工するよりも、使える材のはぎれみたいなものを組み合わせて加工する方が安く上がるし、強度も保たれるなんていう名目で使用されている工法ですね。値段から言ってスカーフジョイントだろうと思ってたんですが、あまり注視してなかったので後から気付きました。まぁ、これによってワンピースのネックよりサスティンが殺されてしまうなんて言われてますが、エレガットにサスティンを求めてないのでなんら問題はないですね。

サスティンにこだわる人はスルーネック(1ピースでボディ材の一部まで作られていてることで結構高い値段になってしまう工法のやつ)のギター使えば良いと思いますが、まー所詮エレガットですからね。

生音で勝負!の楽器じゃないのでこれまた全然いらないですね、サスティン。逆にエレクトリックだからこそ、ナイロン弦サウンドにエフェクトかまして実験的な音が作れると思うとわくわくしますね!

あとこのギター、デザインが良いですね。
上述のCooderのテレキャスシェイプのものはエレキを弾く感覚でそのままいける、っていうメリットはあったんですけど、見た目からナイロン弦のギターですよ!と言う主張が見えて良いです。エレキから持ち替えて、見た目が変わるから持ち替えた感もUPです。

デザイン面では、Epiphoneロゴ。これ重要です。プリントされてるだけだからこすれたら消えてしまいそうですが、Epiphone自体はGibsonのグループになる以前から存在する伝統のブランドなので、この往年のロゴを採用しているあたりはオールドギターメーカーファンには受けそうです。

このギター、次バージョンってのが存在するそうですが、そっちではロゴが近年の丸っこいものに変更となってます。次バージョンとの仕様の違いは面倒で調べてないのですが、新バージョンロゴじゃなくて良かったです。(写真はネットで拾った2.0なる次バージョンのヘッドロゴ)

Shadow製のプリアンプっつうのは、正直な話Shadowっていうブランドが何なのか詳しくないので何もありがたみを感じてませんが(笑)、使った感想としては別段問題ない、っていう印象。

上述のSinsonidoをお店で触った感触として、強くストロークした際に音が少し割れる印象があったのに対して、こっちはそんなでもないです。

あとソリッドボディの弱点として、サウンドキャラクターが空洞のあるギターに比べて堅いっていうところがあるかもしれませんが、一応このShadow製のプリアンプのEQでサウンドにキャラクター付けもできるので良いですね。

改めて足元にエフェクターを置いたり、アンプで音を作りこむ手間が軽く省けるので持ち替えにも向いてる印象です。

あと自宅で使うことをイメージしてかamplifer、headphone切り替えスイッチがついていて出力が使い分けできます。ヘッドフォンで試してないんですけど、ソリッドボディでアンプに繋がないと大きな音が鳴らせられない弱点に対応したあたりはエレガットとしてはありがたいものです。

そういう切り替え、YAMAHAのサイレントギターにもついていたんですけど、あっちはあっちでやや高級の部類ですからね。(と言っても安いんだが)




そんなわけで、安くてまぁまぁ使えそうっていうエレガットを入手できました。

低価格でエレガットを購入するきっかけの記事になれたらなとうっすら思っております。
(YAMAHAとAriaあたりはamazonのリンク貼っておきましたので、ぜひご利用ください。)



2011/10/11 13:45 追記

少々体裁を直しました。

3 件のコメント:

Mats さんのコメント...

2年も前の記事への激遅コメントで失礼します。

1年位前からエレガットを購入予定で、
いろいろなホームページやブログを拝見して
比較などしていたのですが、
こちらのブログを参考にさせて頂き、
Epiphone SST Classicを購入しました。

旧ロゴ仕様の新品を運良く手に入れる事ができ、
(ココだけは譲れませんでした・・・)
今、無我夢中で弾いてます。
このギター、コストパフォーマンス高いですね。
生鳴りの音量もちょうどいいくらいです。

私20年ほどエレキばかりを弾いていましたが、
違和感なく移行できました。
とてもいい相棒を手に入れる事ができました。
一言お礼が言いたくてコメントさせて頂きました。

takami さんのコメント...

>Matsさん
コメントありがとうございます。
当blog内でもアクセス数が高い記事なので、誰かの役に立ててるのかなとぼんやり思ってましたが、直接その声は聞いてなかったので、ご報告嬉しいです!
今見て見ると体裁も良くないし、誤字脱字誤変換も酷い記事ですけど(笑)、参考になったみたいで何よりです。

匿名 さんのコメント...

ネット検索していますが、どこの店も売り切れで困っています。どこのサイトで購入可能か頑張っています。